「うちは利益があるって言うけどお金がないよ。どうして?」
よく聞く言葉です。なぜ、このような現象が起こるのでしょうか?
ご説明いたします。
例えば
[損益計算書]
売上 10,000
売上原価 5,000
売上総利益 5,000
販売費一般管理費 3,000
減価償却費 (1,000)
その他 (2,000)
経常利益 2,000
税引前利益 2,000
法人税等 700
税引後利益 1,300
通常なら1,300儲かった~よかった~で終わるはず・・・でもお金がない。増えるどころか減っている。
なぜ?
ポイントは、借入金の返済(元金部分)・高額の資産の購入・保険料の積立金部分等の経費にならないお金の支出
例えば借入金の元金の返済が3,000あるとします。
借入の返済は利益からするものです。
1,300(税引後利益)-3,000(借入金の元金の返済額)+1,000(減価償却費)=-700
とお金が700マイナスとなってしまいます。
これが利益があるのにお金がないといわれる原因です。
*減価償却費は購入時にお金を支出しており、償却するときにはお金の支出がないためプラスをする。
1 会社を倒産させないため・・・帳簿をつけないで倒産した場合は死刑?
フランスのルイ14世の時代。おおよそ1670年代のことですが、フランスでは経済の不況により会社の倒産があいついだそうです。
そこで、ルイ14世は、時の大蔵大臣コルベールに、会社を倒産させないための対策を命じました。そこでできた法律がなんと
「破産時に帳簿を裁判所に提示できなかった者は死刑に処する」でした。
そして、実際に死刑が行われたそうです。
帳簿をつけることが、会社を倒産させない方法であると知っていたのですね。
我が国においても江戸時代。近江商人の豪商中井源左衛門はやっぱり帳簿をつけていたそうです。
そして現代。我が国においては、会社法第432条により、適時に正確な会計帳簿を作成しなければならないと定められております。
これは、過去の歴史から帳簿を適時に正確につけることが会社の発展にいかに大切であるかということを法律で示しているのです。
適時に正確な会計帳簿に基づいて作成された貸借対照表と損益計算書は、社長にとって適切な経営判断を行う材料になります。
「だらしない帳簿は破産者の特徴」という言葉があります。みなさん。しっかり、帳簿をつけて、会社を発展させましょう。
2自己を守るため
●争いごとから身を守ります。帳簿をつけることは、自社を守るために必要です。自らつけた帳簿は、何らかのトラブルに巻き込まれた場合、証拠能力を持ちます。
●適時に正確な帳簿は,第3者からの信頼を得ることができます。
儲かる社長は変動損益計算書をみる
変動損益計算書とは以下のものです。
売上高
-変動費・・・・・売上の増減に伴って変動する費用。例えば材料費・仕入・外注費
限界利益
-固定費・・・・・売上が増減しても変動しない費用。例えば人件費・家賃
経常利益
なぜ、変動損益計算書が必要か?毎月の固定費がわかれば、最低必要となる売上が簡単に把握できるからです。
例えば固定費100とします。経常利益(目標利益)を100とすると限界利益は100+100で200必要となります。限界利益率(限界利益÷売上高)が20%とすると、200÷20%で1000の売上が必要となります。
もし、売上が1000確保できそうになければ、変動費の見直し・固定費の削減を検討しなければなりません。
変動損益計算書は、目標売上・目標利益を達成するための指標なのです。
儲かる社長は変動損益計算書をみる 応用編
こんな時どうしますか?
田中君が入社を希望しています。「給料50で雇ってください。得意先がありますので売上は1000あがります。」あなたなら、田中君を雇いますか?今現在の変動損益計算書は以下の通りです。
売上 1000
変動費 -800
限界利益 200・・・限界利益率20%
固定費 100
経常利益 100
田中君を雇うと
売上 2000
変動費 -1600
限界利益 400・・・限界利益率20%
固定費 150・・・田中君の給料を加算
経常利益 250
と、いうことで経常利益が上がりますので、田中君は雇ったほうが得です。
「わかる財務分析できる経営助言」TKC出版より
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